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Book

2012年2月23日 (木)

[BOOK] At the Stroke of Midnight

by John K. Butler
(1998, Adventure House)

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CONTENTS
 001 The Dead Ride Free (May 1940, Dime Detective)
 022 The Man from Alcatraz (July 1940, Dime Detective)
 043 Hacker's Holiday (October 1940, Dime Detective)
 069 The Saint in Silver (January 1941, Dime Detective)
 097 The Killer was a Gentleman (March 1941, Dime Detective)
 129 Dead Man's Alibi (July 1941, Dime Detective)
 157 The Hearse from Red Owl (September 1941, Dime Detective)
 180 Death and Taxis (January 1942, Dime Detective)
 207 The Corpse That Couldn't Keep Cool (March 1942, Dime Detective)

 John K. Butler も典型的な「忘れられた作家」です。

 Butlerは1935年から10年弱の間に「Black Mask」「Dime Detective」といった一流Pulp誌で看板を務めた人気作家でしたが、1942年を最後にPulpの世界からはぱったりと姿を消してしまいます。映画の世界に行って、シナリオライターになったんですね。これは、Pulpから卒業する作家たちの典型的パターンのひとつです。Butlerの場合はRepublicの専属のシナリオライターになったんだそうです。Republicと聞いて「ああ、あの」とわかるのは相当に映画に詳しい方ですね。僕はあまり詳しくはないので、名前を聞いた覚えがある程度。いわゆるメジャー(MGMとかフォックスとか)よりは格下で、B級西部劇をいっぱい作った会社という程度のイメージしかありません(^^;)。映画関係のデータベースでButlerの名を検索してみると「地獄の分れ道」「コロラドの急襲」「アリゾナの勇者」「テキサス警備隊」といったタイトルがひっかっかてくるんだけれど、いかん、一つもわからん……(^^;)(^^;)。うーん映画の世界は奥が深い。はまるとこわいから深く追求はしないでおきましょう。
 まあ、ともかくそっちの世界ではかなり成功したプロフェッショナルな職人的シナリオライターのようです。TV時代になってからは「サンセット77」のシナリオなんかも手掛けているらしい(これはタイトルくらいなら知ってるぞ!)。1964年に亡くなったときはまだ50代だったようですから、生きていればもっと様々な作品に関わっていたはず。

 僕に分かった限りでは、この人は長編を1冊も書かなかったようです。長編を書かないと単行本が残らないし、本がなければPulpジャングルに分け入ろうという勇気(^^;)のある人間の目にしかとまらなくなってしまう。忘れられてしまうのも、まあ当然ではありますね。

 でも、Pulpコレクターの間では人気作家の一人で、オークションに掲載号が出るときには必ず目玉作家として名前があがってきます。まあさすがにハメットやチャンドラーほどではありませんが、デイ・キーンやノーバート・デイヴィス、ウィリアム・キャンベル・ゴールトなんかと同レベルの人気って感じですね。

 Butlerの唯一の短編集がこの『At the Stroke of Midnight』。
 1998年にAdventure HouseというPulp復刻専門のマイナーな出版社から出た本で、Butlerの代表作と言われているSteve Midnightシリーズの全9編を収録しています。10年以上も前の本なのに、今でも新刊として入手できるという……(^^;)。いい本なのになぁ。

 この本、つい最近ようやく全部を読み終えたのですが、……とぉっても面白かったです! B級西部劇のシナリオライターとして成功したという経歴から期待するもの…キャッチーな出だし、スピーディーな展開、キャラの立った登場人物たち……は全てそろっているし、それ加えて、ツボを心得た泣かせるシーンがあざといほどに山盛りで、期待以上の充実感、満足感を味わわせてもらいました。読み終えてしまうのがもったいなかったですよ!
(収録各作品の感想は、これから順次UPしていきますね)

 主人公のMidnightは本名はSteve Middleton Knightなんですが、深夜タクシーの運転手なので、「Steve Midnight」と呼ばれています。タクシー運転手が主人公というミステリは珍しくはないんですが、それにしてもシリーズ9作、似たような事件もなく、次々と色々なシチュエーションを考え出すものだと感心してしまいました。

 心よりオススメします。Adventure Houseのサイトで注文すればまだまだ入手可能ですから、急いでGetしてくださいませ!
 注文があれば喜んで翻訳いたしますですよ!>>出版社の皆様方

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