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2007年12月23日 (日)

[ The Wander Bird Plot ] Taylor, Phoebe Atwood ☆☆★

2007年11月某日読了
:テイラーのアゼイ・メイヨものは別冊宝石に「トロイの馬」という中編が紹介されているだけなので、全貌のよくわからない作家なわけだけれども、アメリカのコージーミステリの祖の一人と目されているようだし、アリス・ティルトン名義の作品群はマルクス兄弟に模されることもあるほどのスラップスティック・ミステリらしい。個人的に今注目してる作家です。
 ところが、別冊宝石の「トロイの木馬」はぜんぜん面白くない(^^;)(^^;)。でも、これはたぶん翻訳のせいだろうと思うのですよ。この作品は原題が「The Headacre Plot」といいまして、直訳すれば「頭の痛い話」といったところ。登場人物が頭を殴られて気絶するというシチュエーションが繰り返される、という繰り返しギャグがプロットのヘソなんだけれど、こういう邦題にしたところから見て翻訳者はこの作品のことがまるでわかっていなかったのではないかと思われるのだ。この邦題はラストの種明かしで明かされる殺人トリックに関係があるのだけれど、このトリックがどうでもいいような脱力ものの物理トリックでねぇ(^^;)(^^;)……まあ、あまり多くは言うまい(^^;)。
 この「The Wander Bird Plot」は「The Headacre Plot」と一緒に『Three Plots for Asey Mayo』という中編集に収録されている中編です(初出は「The American Magazine」)。ここでいう「ワンダーバード」というのはトレーラー式キャンピングカーの名前で、こいつが姿を消したり、燃やされたり、かと思ったら再び意外な場所に出現したりして……というお話しなのです。「彷徨うキャンピングカーの話」とでも訳せばいいのですかね。金持ちのプライベートビーチやら、一般客用の海水浴場やらホテルやらのある浜辺のリゾート地という舞台が上手く描写されていて、この背景がプロットにも生かされている。探偵役のアゼイは「ケープコッドのあらゆる人間と知り合い」と描写される年齢不詳の人物で、町の人気者だ。そのアゼイを初めとして登場人物たちはみなどこかちょっとヘンな連中ばかりで微苦笑を誘う。若い恋人たちもお約束通り登場して物語に華を添える。ヒロインとアゼイの関わり方も面白く設定されていて、好感を覚えた。事件の真相はたわいないものだし、ミステリ的に気の利いた仕掛けがあるわけでもないのだけれど、読んでいる間は充分にわくわくできる読み物です。☆☆★にしときましょう。
 翻訳する価値はあるかな、と思うのだけれど、もしかするとアゼイ・メイヨ(およびその他の登場人物)の話し方をどう演出するかで面白さが大きく変わってしまうかもしれない。う~~むぅ(^^;)、自分で翻訳するのはちょっと怖いなぁ(^^;)。

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