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2007年8月 2日 (木)

[ Passage for One ] デイヴィッド・フロム ☆☆☆

2007年7月某日読了
:レスリー・フォードのもう一つのペンネーム、フロム名義のピンカートン氏ものの中編。The American Magazine に掲載されたもの。The American Magazine には長編をアブリッジした中編も掲載しているようですが、この作品はオリジナル中編らしい。
 濃霧のロンドンの中、男たちに追われていた娘を助けたピンカートン氏は、宝石商の殺人と世界で二番目に大きいというダイヤモンド原石の盗難事件に巻き込まれる、というこれもキャッチーな出だし。何事にもビクビクオドオドしているくせに、生来のロマンチックな性格のせいで困っている若い娘を助けてしまう(といっても追っ手に「あっちへ行きましたよ」と言うだけなんだけど(^^;))というピンカートン氏のキャラクターがまず面白い。助けた娘のふるまいがいかにも怪しくて、ピンカートン氏が困った立場に立たされてしまうあたりの展開もうまいし、容疑者たちはキャラが立っており、人間関係のドラマも読ませる。これはなかなかよろしいんじゃないかと思いながら読み進めたのですが……うーーん(^^;)……ピンカートン氏って探偵役じゃなかったんですねぇ(^^;)。そういうシリーズだとは知らなかった。ただ事件に巻き込まれて右往左往しているだけで、最後にお友達のブル警部に事件を解決してもらうんだものなぁ。だから手がかりを追う捜査の過程を楽しむという要素は全くなし。ブル警部は事件の説明をしてくれるだけで、そこにいたる推理なんかは全く聞かせてくれない……つまりは作者のための解説係でしかないんだもの。パズラー的にはやっぱり物足りない。発端が面白くて、そこそこサスペンスもあり、容疑者たちもうまく描かれている。事件の真相はちょっと一ひねりしてあって悪くないし、ヒロインの怪しげな行動も一応(^^;)きちんと説明されている。それに冒頭の霧のロンドンの雰囲気はなかなか読ませてくれた。コージーミステリとしては文句を言う筋合いのない出来ではあるのですが……これで犯人絞り込みのロジックあたりに気の利いたアイデアがひとつでもあれば文句なしなんだがなぁ、と思ってしまうのは贅沢ですかねぇ。☆☆☆かなぁ。

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